筋肉の役割を知ると鍛えたくなりませんか?
名古屋市中区栄タイコ接骨院の岩田祐典です。
今回は筋肉のお話をしていきたいと思います。
筋肉は大きく3種類に分けることができます。
筋肉の種類
・骨格筋
・心筋
・内臓筋
骨格筋はいわゆる筋肉、トレーニングなどによって鍛えられる筋肉の事を言います。人体でこの骨格筋のみ自分の意思で動かすことができる筋肉です。
心筋は心臓を動かすための筋肉、心臓の動きは止まってしまうと命に係わる大事な役割をしているので自分の意思とは関係なく動いているので自分では動かすことができません。
内臓筋は血管・膀胱・子宮・胃や腸に存在します。ここも自分の意思で動かすことができない筋肉です。内臓や血管の働きの維持を行います。
中でも今回は骨格筋について詳しく話していこうと思います。
自分の意思で動かすことができるからこそ使い方次第では最大限の力・役割を発揮できます。
骨格筋の役割
身体を動かす
姿勢を維持する
エネルギー源の貯蔵
熱産生
アウターマッスルとインナーマッスル
ここでは骨格筋の役割である「身体を動かす」と「姿勢を維持する」の観点からアウターマッスルとインナーマッスルを説明します。
骨格筋はアウターマッスル・インナーマッスルに分類されます。
アウターマッスルは
「表層筋」と言われ身体の表層にある大きい筋肉です。主に身体を動かす時に大きな力を発揮したり、関節を動かしたりする筋肉です。
三角筋や大胸筋、僧帽筋、広背筋などはアウターマッスルです。
筋トレなどしているときはこの筋肉をターゲットにして鍛えていることがほとんどです。
インナーマッスルは
「深層筋」と言われ身体の表層ではなく深層に位置する筋肉です。この筋肉は身体を動かすことにも関与しますが、関節を安定させることが主な機能になります。
骨と骨とを正しい位置に安定させることでスムーズに身体を動かすことができます。
身体の奥で骨格を支える役割をするため姿勢維持にも大事です。
この筋肉が弱くなると姿勢が不安定になり正しい姿勢で保てなくなってしまうので代償するように負担がかかる筋肉が出てきます。
インナーマッスルが上手く使えていない人はアウターマッスルで代償して身体を使うことが多いので、使う筋肉によっては肩こり、腰痛の原因になります。
身体を正しく動かすにはアウターマッスルとインナーマッスルのバランスが大事です。
どちらか一方が劣っていたり、鍛えすぎてバランスが悪いと正しく身体は動かせないし、パフォーマンスは発揮できません。
アウターマッスルはインナーマッスルのおかげで、インナーマッスルはアウターマッスルのおかげで互いに助け合って働いているのでどちらが大事とは言い切れません。
「インナーマッスルを鍛えましょう!」などとよく耳にします。インナーマッスルだけが大事と勘違いをしてしまっている方も多いかと思いますが両方大事です。
インナーマッスルは意識しないと鍛えにくい筋肉ではあるのでそのように言われてよく聞くワードなだけです。勘違いせず、互いにバランスよく鍛えることを意識しましょう。
体温と熱生産について
健康な人の体温は
平熱約37度(36.5~37.1度)が理想とされています。
36度以下(35度台)は低体温と言われます。
体温が低いのはよくありません。それはなぜか?
冷えを感じるのはもちろん、免疫力が低下します。
免疫力とは体内で発生したがん細胞や外部から侵入した細菌やウイルスを撃退する防衛システムです。
免疫力が下がると病気にかかりやすかったり、アレルギー症状や、肌荒れなども起こりやすくなります。
「体温が1度下がると免疫力は30%下がる」と言われています。
低体温の人は体調を崩しやすかったり、身体の不調が出やすい傾向にあります。
また風邪を引いたときに発熱し体温が上がると思います。これは体温を上げることによって免疫システムが働きやすい環境を作っていると言われています。
身体に侵入して悪さをしている細菌やウイルスと戦っている時期なので薬などによって解熱してしまうと風邪などが長引いてしまう人もいるので注意しましょう。
また低体温は熱産生が上手くできていない(=代謝が悪い)証拠です。
体質的に冷え性、運動不足で代謝が悪く肥満傾向にある人、痩せていて筋肉量が少ない人が多いです。
ポイントは”筋肉(骨格筋)”です。筋肉がエネルギーを消費する過程で熱を産生します。
ダイエットをしたい、冷え性を改善したいと思っている方は適度な運動・トレーニングで筋肉量を増やし、代謝・体温を上げることを意識してみましょう。
身体の「熱産生」のしくみ
・ふるえ熱産生
・非ふるえ熱産生
【ふるえ熱産生】
骨格筋でエネルギーを使う過程で発生する熱産生です。身体の約6割はふるえ熱産生によって熱をつくっています。
基本的に熱は三大栄養素である糖質・脂質・たんぱく質をエネルギーに変える過程で発生し、熱生産が行われます。
運動をすると身体が熱くなるのは骨格筋でエネルギーが使われ熱が発生するからです。そして体温が上昇しすぎるのを防ぐために汗をかき体温を下げます。
この調整によって体温は一定の温度(36.5~37.1度)に保たれています。
寒冷地(気温が低いところ)にいると身体がブルブル震えてくるのもこのふるえ熱産生です。冷たい空気に熱が奪われていってしまうので体温が下がらないように身体を震わせ熱をつくり体温維持する反応が起こります。
【非ふるえ熱産生】
褐色脂肪細胞でおこなわれる熱産生がメインです。
脂肪細胞は栄養素を脂肪として貯蔵する”白色脂肪細胞”と脂肪を分解し熱を産生する”褐色脂肪細胞”があります。
自律神経の働きにより、褐色脂肪細胞は活性化され熱を産生し体温の維持やエネルギー消費に関与しています。
肩甲骨や鎖骨、脊椎の周囲に存在しています。適度な寒冷刺激や運動による刺激で活性化し働きやすくなります。
メタボ予防・治療やダイエットでも注目されています。
※寒冷刺激が良いからと言って冷やし過ぎは血行不良による肩こりの助長や血圧の急激な変化が起こる可能性があるので気をつけましょう!
これらのしくみ意識して運動やトレーニングで骨格筋量を増やし、肩甲骨や鎖骨、背骨を適度に動かし褐色脂肪細胞を活性化させることがダイエット成功や冷え性改善、結果的に肩こり、腰痛の改善にもなるかもしれません。
参考文献
上住 聡芳 土田 邦博,骨格筋内脂肪の形成に寄与する間葉系前駆細胞の同定,日本老年医学会雑誌 48巻 2 号(2011:3),p.99-103
https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/publications/other/pdf/perspective_geriatrics_48_2_99.pdf
富永真琴,褐色脂肪細胞においてエネルギー消費を促す新たなメカニズムを発見–からだの熱産生に褐色脂肪細胞のTRPV2チャネルが関与–,生理学研究所,2016年2月19日更新
https://www.nips.ac.jp/release/2016/02/_trpv2.html
中村和弘,Journal of Japanese Biochemical Society 90(3),p. 408-412 (2018)doi:10.14952/SEIKAGAKU.2018.900408
https://seikagaku.jbsoc.or.jp/10.14952/SEIKAGAKU.2018.900408/data/index.html
関連記事リンク