意外と知らないむくみの原因と改善法
名古屋市栄タイコ接骨院の岩田祐典です。
今回は意外と知られていないむくみの話をしていこうと思います。
身体の水分とむくみの話
人間の身体の60%は水分でできています。
そのうち40%は細胞内液、身体を構成する細胞の中にある水分です。
残りの20%が細胞外液、血液中の水や細胞と細胞の間にある間質液の水分といった割合になっています。
そしてむくみに関係するのが細胞外液の水分です。
むくみ(浮腫)は先ほどの間質液の水分が増加した状態を言います。
間質液はさまざまな作用によって毛細血管から血液中の水分が細胞間質に滲み出ます。
正常な人は滲み出た水分が再吸収と言ってまた毛細血管やリンパ管に取り込まれ吸収され、心臓に向かって流れて循環していきます。
また不必要な水分は腎臓で尿となり排出されます。
むくみはさまざまな原因によって再吸収の機能が低下していたり、循環が悪く水分が流れず滞ってしまうと起こります。
むくみの原因
・塩分の摂り過ぎ
・タンパク質が不足
・筋肉量が少ない(運動不足)
塩分の摂り過ぎ
食塩に含まれるNa(ナトリウム)は水を吸い寄せる役割があります。
例えばきゅうりの漬物を作るのを想像してください。きゅうりを袋に入れて食塩をまぶします。するときゅうりの水分が外に滲み出て袋の中に水分が溜まると思います。
これは食塩のナトリウムがきゅうりの水分を引き寄せたために出できます。
人間の身体の中でもこの現象が起こります。
塩分を摂り過ぎると体内にナトリウムがたくさん存在することになりこのナトリウムが体の中に水分を保持しようとするためむくみが発生します。
体内の水分量が増えるため血圧が上がり高血圧の原因にもなります。
お酒など飲みに行った後にむくんでしまうのはお酒と一緒に塩分の高いものを食べている可能性も考えられますね。
タンパク質が不足
血液中にはアルブミンと言われるタンパク質が存在していて、血液中に細胞間質から水分を引き込む(再吸収・回収する)働きをします。
これにより身体の中の水分や血液量を調整するとても重要な役割を担っています。
アルブミンのタンパク質は分子が大きく血管から外(細胞間質)に出られません。
血中のアルブミンが不足すると間質から水分を回収できなくなるので間質液が増加しむくみが発生します。
アルブミンは肝臓で作られます。食事として食べたタンパク質が腸で消化・吸収されアミノ酸まで分解されます。肝臓に運ばれこのアミノ酸を材料にアルブミンが合成され血液中に入り仕事をします。
タンパク質が不足する原因
①肝臓の機能低下(作れない)
②腎臓の障害(異常に排出)
③腸の障害(吸収できない)
④栄養失調(摂取不足)
筋肉量が少ない(運動不足)
むくみは身体の水分の循環が悪く流れにくい状態になってしまうのも原因の1つです。
立ち仕事やデスクワークなどであまり動かない人は重力で脚に水分が溜まりやすくなり、間質液が増え、むくみます。
間質液は毛細血管から静脈やリンパ管を通って心臓に送り返されます。
静脈やリンパ管は動脈と違って自分で脈を打って動くことがなく、重力に逆らって流れなくてはいけません。中の血液やリンパ液を流すのに他の力を借ります。
1つ目は動脈の力です。
静脈とリンパ管は動脈と並走して流れているので動脈の脈打つ鼓動によって押し流されています。
2つ目は筋肉の力です。
流れを良くするためにとても大事なのが筋肉。
筋肉の収縮により”筋ポンプ作用”が働き、押し流されます。
男性で「脚がすごく浮腫むんだよね」と言う人は少なく女性が圧倒的に多いですよね。
これは筋肉量の差が大きいと思われます。女性は男性に比べると筋肉量が少ない為筋ポンプ作用の働きが少ないため浮腫んでしまう人が多いです。
むくみの改善方法
塩分の摂取量を減らす
日本人の食塩摂取量は一日平均で男性10.8g/日、女性9.2g/日という厚生労働省の調査結果があります。
世界基準でみると5g/日とされていますが、日本の食習慣を考えるといきなり半分に減らすことは難しいのでまずは8g/日まで減らしてみましょう。
料理で塩「少々」は親指と人差し指の2本で塩をつまんだ量が約0.5g、「ひとつまみ」は親指と人差し指と中指の3本で塩をつまんだ量が約1gの目安です。
料理をするときなど気をつけてみましょう。
また、コンビニなどで買って食べることも多いと思います。
その時は裏の成分表に必ず食塩の含有量の記載があるので見る癖をつけるようにしましょう。
タンパク質をしっかり摂取する
タンパク質は1日に自分の体重の数字グラム(g)は最低限摂りましょう。
むくみに関係するアルブミンだけでなく、筋肉の材料などさまざまなところで必要になります。
タンパク質には動物性たんぱく質(肉・魚・卵・乳製品)と植物性たんぱく質(大豆)があります。
【動物性たんぱく質】
たんぱく質の含有量が多いといったメリットがあります。
しかし、牛肉や乳製品には身体に悪い脂が多く含まれている可能性がある為注意が必要です。
また加工肉には発がん物質が含まれていることが多いので食べ過ぎには注意しましょう。
魚には身体に良いとされているオメガ3脂肪酸が多く含まれているものが多いので魚でタンパク質を摂取するのがオススメです。
しかし、良い脂だからと言って脂は脂です。これも摂り過ぎ注意です。
【植物性たんぱく質】
植物性たんぱく質のものには低脂肪・低カロリーのものが多いです。
ダイエットなどで気にしている方はこちらで摂取することがオススメです。
しかし、植物性のタンパク質だけでは必須アミノ酸をすべて賄うことができません。
※必須アミノ酸:人間の身体では作れないアミノ酸。食事などで取り込む必要がある。
アミノ酸はタンパク質を分解し細かく分解したもので身体の中ではこのアミノ酸からタンパク質を再合成して作られます。(アルブミンなど)
また動物性よりも植物性たんぱく質を摂取割合が多い方が死亡リスクが低いと言う研究結果も出ているみたいです。
しかし植物性ばかりで良いと言うわけではありません。
動物性と植物性をバランスよく摂取することが大切ですね。
運動をして筋肉量を増やす
先ほども説明した通り、むくみの原因となる水分は筋ポンプ作用によって心臓に送り返されます。
人間の身体には「第二の心臓」と呼ばれるぐらい筋ポンプの役割をしている筋肉があります。
それは”ふくらはぎ”です。
ここが硬かったり、衰えていたりすると正しく機能しないため、水分が脚に溜まりやすくなるためむくみます。
他にも冷え症や肩こりなどの方も血流が悪い人が多いのでふくらはぎに原因がある人が多い傾向にあります。
そんな人はこのトレーニングをしてみましょう。
カーフレイズ
参考文献
河野雄平監修,ユーグレナ・マイヘルス,食塩摂取の基礎知識,<https://myhealth.euglena.jp/products/salt/article/2>
厚生労働省 (2016), “平成28年 国民健康・栄養調査結果の概要”,<http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/kekkagaiyou_7.pdf>
動物性・植物性たんぱく質の摂取と死亡リスクとの関連,<https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/8289.html>
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