猫背による身体の異常と改善法~上位交差症候群~
名古屋市栄のタイコ接骨院の岩田祐典です。
今回のテーマは”猫背”についてです。
猫背になると身体はどうなっているか?改善方法など書いていこうと思います。
猫背とは
一般的に猫背と言えば頭が前に出て背中が丸まっている姿勢ではないでしょうか。
医学的に猫背とは胸椎の生理的後弯が正常範囲より大きくなった状態と言えます。
猫背と言われている人の中にはストレートネックだったり巻き肩だったりする人もいます。これらは単体で起こるのではなく合併していることが多いです。
正しい姿勢のチェックポイントは下記の記事を参考にしてみてください。
猫背の人の身体の異常
猫背の人は身体が上位交差症候群と言われる異常な状態になっている方がとても多いです。
<上位交差症候群>
硬い筋肉:僧帽筋上部線維、肩甲挙筋、後頭下筋群、大・小胸筋
弱い筋肉:頚部屈筋群、僧帽筋中部・下部線維、菱形筋、前鋸筋
硬い筋肉と弱い筋肉が身体の前後でクロスしてバランスが崩れた状態を上位交差症候群と言います。
肩甲骨を引き寄せる作用の菱形筋などが働かず、肩甲骨を外転、肩を前方に引っ張る作用の胸筋が過度に働くと巻き肩などの不良姿勢になります。
この状態が長く続くと胸椎の後弯が強くなっていき猫背になっていきます。
上位交差症候群による機能障害
・環椎後頭関節
・第4-5頚椎椎間関節
・頚胸椎移行部
・肩甲上腕関節
・第4-5胸椎椎間関節
猫背(上位交差症候群)になると以上の関節の機能障害が起こります。
この機能障害により他の関節や筋肉に負担がかかりやすくなり首コリや肩コリの原因になります。
慢性的に首コリや肩コリを抱えている方は姿勢が悪い人が圧倒的に多いです。
首や肩が凝るからマッサージなどで筋肉を緩めても上位交差症候群になっている問題を解決しないと何度も繰り返してしまいます。
猫背・上位交差症候群の改善
下位交差症候群でも紹介した通り人間の身体には相反抑制と言う機能が備わっています。
相反抑制とは動筋が収縮すると拮抗筋の筋緊張は抑制されるといった機能です。
例えば、上腕二頭筋が収縮すると、拮抗筋の上腕三頭筋は筋緊張が抑制され肘を曲げることができる仕組みです。
上位交差症候群では、大・小胸筋に異常があり硬く収縮していると、拮抗筋の僧帽筋中部線維や菱形筋が抑制され筋力低下するといった形で相反抑制が働いてしまいます。
なので”硬い筋肉”のストレッチと拮抗筋の”弱い筋肉”のトレーニングと組み合わせてケアすることで効率的に改善する事ができます。
<胸筋のストレッチ>
①スタートポジション
壁の前に立ち、伸ばしたい方の肩・肘を90度に曲げて壁につける
②挙げた腕と反対方向ゆっくり体を開く
3~5秒伸ばし、戻す、これを10回程度繰り返します
※スタートポジションの肘の高さを上下に少し変えると胸筋の伸びる線維が変わるので硬いと思う角度を探して工夫するとさらに効果的です。
<肩甲骨のエクササイズ>
①スタートポジション
腕を挙げる角度はゼロポジション(約130〜150度挙上した位置)で構える
※ゼロポジションとは
肩関節を安定させながら、筋肉の緊張はバランスの取れている状態なので肩関節がリラックスできる位置です!
ゼロポジションから開始することで無駄な筋肉の緊張を取り除くことができます。
②ゆっくり肘を曲げる
この時左右の肩甲骨を寄せる(内転)、肩甲骨を下げる(下制)ように動かす
力を入れたいのは肩甲骨の間〜少し下にかけて(僧帽筋中・下部線維)
※僧帽筋中・下部線維に力が入っていることを意識しましょう。
1日20~30回を目安に行います。