仙腸関節の仕組みと機能~腰痛との関係性~
名古屋市栄のタイコ接骨院の岩田祐典です。
今回は骨盤にある関節、仙腸関節について書いていこうと思います。
骨盤に存在する関節
・仙腸関節
・恥骨結合
骨盤にはこの2つの関節(骨と骨のつなぎ目)が存在します。
詳しくは下記の骨盤の記事を参考にして下さい。
今回は仙腸関節について詳しくみていきます。
仙腸関節の機能
仙骨(腰の背骨の下)と腸骨(手を腰に当ててと言うと大半の人が触る骨)の頭文字を取って仙腸関節と言います。
簡単に言うと仙骨と腸骨のつなぎ目です。
仙腸関節の可動範囲はごくわずかで平均2°程度と言われています。
これは多くの靭帯が存在し、安定させているからです。
しかし、このわずか2°の可動性が悪くなったり、逆に大きく動き過ぎたりすることで痛みが発生する場所でもあります。
仙腸関節は上半身の体重を支えるのに適した構造になってる反面、背骨を伝わって仙腸関節にストレスが発生しています。
仙骨と腸骨の動きによって”締りの位置”と”緩みの位置”が異なります。
締りの位置(ニューテーション)
・仙骨が腸骨に対して前傾(うなずき運動)
・腸骨が仙骨に対して後傾
緩みの位置(カウンターニューテーション)
・仙骨が腸骨に対して後傾(起き上がり運動)
・腸骨が仙骨に対して前傾
立っている時、仙腸関節は安定性を高めるように動き、靭帯の張力を増します。(ニューテーション=締りの位置)
しかし、安定性を高める機能が過度に生じている(動きが悪くなる)と仙腸関節を支える靭帯にかかるストレスが増強し痛みが発生します。
仙腸関節の動きの悪さを他で代償して負担がかかり痛みが出てきてしまうことも。
逆に歩行時などには靭帯を緩ませ、安定性を低下させる働きがあります。(カウンターニューテーション=緩みの位置)
不安定になるわけではなく可動性をよくする機能なので悪いことではありません。
しかし、これも過度に靭帯が緩み過ぎる(動き過ぎる)と仙腸関節自体にかかるストレスが大きくなり痛みが発生します。
これは他の関節の動きが悪くなっているせいで仙腸関節で動きを代償している可能性も。
要するに安定性が必要な時と動きが必要な時、ともに正しく機能できるかどうかが大事という事です。
特に反り腰で過度に骨盤が前傾、逆に過度に後傾している方は要注意です。仙腸関節の動きが悪くなっていたり、動き過ぎてしまっていたりします。
呼吸と仙腸関節
正しい呼吸は身体を自然に反応させて動かします。
呼気(息を吐く)
→仙骨は前傾
→ニューテーション
吸気(息を吸う)
→仙骨は後傾
→カウンターニューテーション
スポーツのインパクト時やトレーニングで力むときに息を吐きながらとよく言われているのは仙腸関節をニューテーションにすることで体幹を安定させ大きなパワーを発揮できる環境をつくるためです。
正しい呼吸の練習法
呼吸には腹式・胸式の2パターンあります。正しい呼吸はこの2パターンがどちらも上手くできる必要があります。
しかし、多くの患者さんを診ていると腹式呼吸が上手くできていない方が多いのです。
腹式呼吸の練習法を紹介します。
<方法>
①上向きで膝を90°に曲げて寝ます
②片方の手を胸に、もう片方をお腹(おへそ)の上に置きます
③息を吸いながらお腹を膨らませます
※この時お腹の方の手が動いているのを感じましょう。胸の方の手に動きを感じてしまう方は×です。
④息を吐きながらお腹を凹ませます
※息を吐くと仙骨は自然に前傾します。凹ませるのと同時に意識的に骨盤(腸骨)を後傾させるように動かすとニューテーションに誘導されやすくなります。
呼吸の際は鼻で呼吸をしましょう。